1 趣 旨
現在では、森林の恩恵は地域社会だけでなく、地球規模にまでその受益範囲の広がりが認識されるようになりました。しかし、木材価格の低迷、林業担い手の世代交代の遅れ、所有者の高齢化と不在村所有者の増加、所有規模の細分化など、様々な要因が重なり合って、私達のまわりには植えた後の手入れが行き届かない森林が増えています。これらの問題を放置すると、土砂崩れ、水害、渇水などの危険が高まるほか、国際社会に対する、持続可能な森林管理や生物多様性の確保、CO2の森林による吸収などの約束も果たせません。また、国内の木材市場は8割以上を外国産の木材に占められ、地域の木材を地域で有効に利用する仕組みをつくる事が難しくなっています。しかも日本が輸入する木材の少なからぬ量が海外の貴重な森林から違法に伐採されている可能性が指摘されています。
これらの複雑・多様化している問題に対して、国・道などをはじめ社会の様々な個人・団体が協働して解決にあたる必要がありますが、現状では有効な解決方法を提示できているとは言い難い状況です。また、世界の先進地に大きく遅れをとっている、森林管理データの整備や人材教育、技術革新によって、環境保全と林業を高度に両立するための仕組みも早急に確立しなければなりません。また、これらを次の時代を担う世代や子供たちへ引き継いでいかなくてはなりません。
2 申請に至るまでの経緯
私たちは、2003年10月より持続可能な森林管理の仕組みづくりを学ぶために任意の研究会活動をしてきました。多方面の方と議論する中で、既存の組織・団体の活動の間を埋める、新たなセクター設立の必要性を強く認識するに至りました。私たちは、広く社会的な合意と科学的根拠に基づいた森林管理をつくるために、行政・地域住民・市民・NPO・研究者・企業と広く学びあい協力するセクターを目指しています。
今般、これまでの研究会活動の中で練られた森林管理の新しいサービスを実践し、より責任を果たせる組織となるため、NPO法に基づく法人格を取得することとし、特定非営利活動法人「森林再生ネットワーク北海道」を設立することといたしました。
私たちは、NPO法人格取得後は、地域の手入れが行き届かない森林等を市民参加によって再生する事業を実施します。また、その活動を外部にも分かりやすく伝える活動を継続し、地域の森林環境と地域コミュニティの健全な発展に貢献していきます。 |